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路地に並ぶ建物の上。そこには遠距離の敵を狙撃するためのスナイパーライフルを構えた木村の姿があった。
地上からは見通しの悪い路地でも建物の上からはよく見渡せるため狙撃には最適だ。
勿論敵もこの穴場を見て見ぬフリをする筈がない。敵の狙撃手も数人いたが、それらは全て排除した。
「それじゃあそういう事で…はい…はい。」
数十メートル離れた場所にいる坪内と連絡を取り合う木村。
スナイパーライフルには必須の倍率スコープを覗く木村の目には5人の男の姿が的確に捉えられていた。
ジャキッ
弾丸をリロードし、ゆっくりと機会を待つ。
そして、
《今です!》
坪内の無線に木村からの合図が届いた。
反射的に曲がり角を飛び出す坪内と葉山。
葉山は走りながら拳銃を片手に構え、発砲。
弾丸は1人の男の太ももに命中した。
すると坪内と葉山に気付いた男達は一斉に銃口を向ける。太ももを撃たれた1人は体制を崩しながらも何とか拳銃を構えていた。
全速力で駆ける坪内との間合いは約20メートル。狙えば外れる距離ではない。
先頭に立つマシンガンを持つ男が躊躇なく引き金を引こうとした、刹那。
バスッ
「ぐあッ…!?」
突如胸部を走る激痛。撃たれた。
発砲したのは坪内でも葉山でもない。………木村だ。
スコープで拡大されたターゲットを的確に捉え、撃つ。心臓を狙ったつもりだったが僅かに外れて胸の中心部へと命中した。
だが、これでいい。
これだけでは致命的なダメージにはならずとも弾丸によって吹き飛ばされた肋骨の骨片が動脈や肺・心臓などの臓物を巻き込み、結果的には死に至る。
ダァン!!
すかさず葉山がもう1発。
理由も分からぬまま仲間が撃たれた事によって動揺していたため反応が遅れてしまったようだ。
また1人、今度は頭部を撃ち抜かれ倒れ込んだ。
その間に全速力での接近を続け、間合い数メートルにまで詰めていた坪内がショットガンを構え、撃つ。
ズダン!!
発砲と同時に拡散する無数の弾丸は一気に2人の男を襲った。
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