18310人が本棚に入れています
本棚に追加
婆ちゃんと祭りについての話をしている間に、あっという間に雨音の家に到着した。
「じゃあちょっと待っててな婆ちゃん」
俺はそう言ってババチャリを止めて、雨音の家の玄関に向かった。
ピンポーン
「はーい?」
インターホンを鳴らして少しすると、そう言って扉が開いた。
出てきたのは、前に一度あった事のある雨音のお袋だった。
「あら、こんばんわ心一君」
「こっ、こんばんわ」
俺はそう言ってペコリと頭を下げた。
相変わらず綺麗な人だ。思わず少し照れてしまう……。
「雨音を迎えに来てくれたんでしょ?もう少しで支度できると思うから」
雨音のお袋がそう言い終わるや否や、廊下をドタドタと走って来る音が聞こえてきた。
勿論足音の主は雨音である。
「待たせちゃってゴメンね心ちゃん♪」
そう言った雨音の姿に、俺は言葉を失った。
いつも寝癖全快の雨音がきちんと髪を整えて、綺麗な髪飾りを付け、かわいらしい金魚の柄の青い着物を着ていたのだ。
「…どうかしたの心ちゃん?」
「えっ?いっ、いやっ、何でもねぇ!」
そう言って俺は慌てて雨音から目線を反らした。
正直見とれてた。
女ってのは髪型や服装変えるだけで、あんなに綺麗になるもんなんだな………。
最初のコメントを投稿しよう!