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ババチャリで走り出してから程なくして、俺と雨音は飛鳥祭の会場である神愛樹の所に到着した。
祭り会場では神愛樹を囲むように沢山の提灯が吊るされていて、『金魚すくい』や『射的』など定番の出店が30店程出ていた。
正直あまり大きな祭りだとは思えなかったが、予想よりも沢山の人が集まっていた。
集まっている人の服装を見てみるとわかるのだが、婆ちゃんの言った通り確かに県外からもちらほらと人が来ているようだ。
「チャリ停めとくのこの辺でいいか。そんじゃあ婆ちゃん、行ってくるよ」
「楽しんできんさいな」
「じゃあねお婆さん♪」
そうしてババチャリから離れ、俺と雨音も祭りの人混みに加わった。
「心ちゃん♪金魚すくいやろー♪」
「引っ張んなってオイ!危ないから!」
俺がそう言ったのにも関わらず、雨音は俺をぐいぐい引っ張って金魚すくいの出店まで連れていった。
まったく、本当にいつも元気だなコイツは……。
「おじちゃん♪2つ頂戴♪」
「まいど!はいどうぞ!」
そう言って出店のオッサンは、俺と雨音に金魚をすくうプラスチックの輪に薄い紙の貼ってあるお馴染みの道具を1つずつ渡してきた。
「さぁ!沢山すくうぞー♪」
「俺はペットはナナだけで充分なんだがな」
俺はボソリとそう呟いて、小さく溜め息をついた。
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