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「とっ、ところで心一、アンタ飛鳥祭のイベントには参加するの?」
さっきの自分が言った言葉を誤魔化すように、夏がいきなりそう話を変えてきた。
つーか、イベントって何だ?
「なぁ、イベントって何だよ?」
「えっ?雨音から聞いてないの?」
「あっ、心ちゃんに話すの忘れてたや~♪」
雨音は呑気にそう言って、頭の裏ををポリポリと掻いた。
「イベントって言うのはね、神愛樹に1年にたった1つだけ咲く花『神愛花(シンアイカ)』の押し花を使って作ったキーホルダーを賭けて、毎年いろんな競技で対決する事だよ♪今年の競技は確か……」
「今年は『自転車レース』よ雨音」
イベント内容が思い出せずに困っていた雨音に、夏がそう言った。
「自転車レースねぇ~。てかその神愛花ってのを使ったキーホルダーってのは、そんなにいい物なのか?」
「持ってる人は幸運になれるって言われてるわ。今日村の外から集まってる人達は、皆キーホルダーが狙いなのよ」
「へぇー、じゃあ結構有名なんだな」
俺はそう言って、人混みの中にチラホラ見える村の外から来た人達を見渡した。
「私と官九郎は参加するけど、アンタはどうすんの?」
「まぁ、考えとくよ」
「参加するなら申し込みがいるから、早いうちに決めときなさいよ」
そう言って夏は、キ〇タクの等身大抱き枕を嬉しそうに抱えながら人混みの中に消えていった。
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