飛鳥祭

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勢いよく漕ぎ出したはいいが錆びついてるババチャリは思うように進んではくれず、約1km走った地点でも俺は相変わらず最下位のままだった。 「畜生このオンボロめ!漕ぎにくいんだよ!」 「文句を言うでないわ心一。それよりちゃんと前を見た方がええぞい」 「えっ?」 婆ちゃんにそう言われて俺が前方に目をやると、何と目の前の地面に大きな穴がポッカリと開いていた。 「どわぁ!!」 思わず俺はそう声を上げて咄嗟にハンドルを切り、なんとか穴には落ちずにすんだ。 「なっ、何だよこの穴は!?」 俺はそう言いながら大きな穴の中を覗いた。 すると、穴の中には数十名ものイベント参加者が自転車ごと落ちていた。 「コレが源六の言ってたトラップじゃろうな。まったく、相変わらず無茶をする奴じゃのぅ」 「トラップの規模デカ過ぎだろ……。てか婆ちゃんあのエロ村長の事知ってんのか?」 「アタシはこの村に長年住んでたんじゃから当たり前じゃろ。それに源六とは幼馴染みじゃからのぅ」 「へぇ~」 婆ちゃんと村長との意外な繋がりに、俺は素直に少し驚いた。
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