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「ぬりゃあぁぁぁぁ!!」
「しっ、心一!?優勝は私のものよ!!」
俺が現在トップの夏に接近すると、夏も更にスピードを上げた。
官九郎を引っ張ってるってのに、なんて奴だ……。
だが次の瞬間、
バサッ
「キャッ!」
夏は頭上の木の上から降ってきたネットのトラップにかかって、完全に動けなくなった。
「っしゃあ!」
俺はそう言って片手でガッツポーズを取りながら、悠々と夏を追い抜いた。
だが、
「あれ?」
何故かペダルが急にズッシリと重くなった。
遂に体力の限界か!?
いやっ、違う。これは……
「……官九郎!テメェ夏から俺に乗り換えてんじゃねぇよ!」
俺が怒鳴った通り、官九郎が夏のチャリから俺のチャリに釣竿の釣針を移したせいで、今度は俺が官九郎を引っ張る形になってしまったせいでペダルが急に重くなったのだ。
迷惑極まりない。
「離れろ官九郎!」
「嫌じゃよ~。これも優勝する為の戦術じゃ」
そう言って官九郎は、楽々と俺に引っ張られている。
「フンッ、上等だコラァ!!」
そう言って俺は思いっきりババチャリを漕ぎ、スピードを上げた。
そして、
キキィーッ!
思いっきり急ブレーキをかけた。
「なっ!急に止まるなんて反則じゃぞ心一ぃー!!」
官九郎はそう叫びながらババチャリの後輪に衝突して、その勢いでチャリからぶっ飛んで俺の前方に落下した。
ケッ、ざまぁ見ろだぜ。
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