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俺がこのまま優勝するか、それとも勝ちを譲るか、決めるのは俺。
だが、神愛樹はもうすぐそこまで近づいてるから悩む時間はない。
このガキの頑張りはよく解るから、正直勝たせてやりたい。
だけど、その変わりに雨音を悲しませるのは嫌だ。
どうすれば………どうすればいいんだ!?
俺が自問自答を繰り返しているうちにも、俺もガキも神愛樹にどんどん近づいて行く。
そして、
【ゴールイン!】
村長がマイク越しにそう声を張り上げた。
先にゴールテープを切ったのは、俺じゃなくてガキの方だった。
クソッ、自分がこんなにガキに甘い奴だとは思わなかったぜ……。
「これでよかったのかぇ心一?」
「知るかよ。てか婆ちゃんが『神様が憑いてる』とか言うからだろ」
俺そう言って溜め息をついた。
畜生、雨音に何て言えばいいんだよ……。
「心ちゃん♪」
「のわぁ!!」
落ち込んでいた時にいきなり雨音に声を掛けられた俺は、思わず情けない声を出してしまった。
「あっ、雨音……スマン!その、勝てたんだけど負けたというか、あのガキも頑張ってたし、その……」
「わかってるよ心ちゃん。ありがとね♪」
必死に言い訳する俺に、雨音はそう言って微笑んでくれた。
ふぅ……雨音が笑ってくれてよかった。
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