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今俺の目の前では、優勝を譲った小学生が村長から優勝商品の神愛花のキーホルダーを受け取っている。
「……なぁ雨音、あのガキって神様宿ってるだろ?」
「うん。よくわかったね心ちゃん♪」
「その……神様何か言ってないか?」
「私が伝えるより、自分で聞いた方がいいよ♪」
そう言うと雨音は俺の手を握ってきた。
すると、俺の前に中学生くらいの男の子の神様が姿を現した。
「先程は弟に優勝を譲っていただき、ありがとうございました」
中学生の神様はそう言うと、丁重に頭を下げてきた。
つーか、弟って事はあのガキの兄貴なのか?
「なぁ、アンタあの子の兄貴なのか?」
「はい。とは言っても、3ヶ月程前に交通事故で死んでしまったんですがね」
中学生の神様はそう言って、悲しそうに微笑んだ。
なるほどな。それで弟の神様になった訳か……。
「あのさぁ、1つ聞きたいんだけど、何であの子はあのキーホルダーがそんなに欲しかったんだ?『幸せになれる』なんてただの迷信なのに」
「確かに迷信かも知れません。でも、例え迷信でも弟にとっては関係ないんですよ」
そう言って中学生の神様は一度弟に目線を移した後、再び俺に目線を戻してゆっくりと口を開いた。
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