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「実はもうすぐアイツ、お兄ちゃんになるんですよ。もうすぐ妹が生まれるんです。キーホルダーは、まぁ安産祈願みたいな物のつもりなんでしょう」
「そうなのか……」
そう言って俺はガキの方に目線を移した。
笑顔で村長と話しているが、膝からは転んだ時に出来た傷がまだ痛々しく残っている。
「……いくら安産祈願のつもりだからって、あんなに頑張れるもんか?」
「アイツなりにお兄ちゃんになる為に精一杯頑張りたかったからかも知れません。人一倍努力する弟ですから」
中学生の神様はそう言って微笑んだ。
この神様は、きっと凄くいい兄貴だったんだろうなぁ……。
そう思った時、
「お兄さん!」
急に聞こえてきたその声に俺が目線を神様の横に動かすと、そこには神様の弟であるあのガキが、神愛花のキーホルダーを手に微笑んでいた。
「お兄さんありがとう!僕に優勝譲ってくれたんでしょ?」
「えっ?あっ、ちっ、ちげーよ!お前の実力だよ!」
俺は柄にもなくガキを気遣うような事を言った。
つっても、このガキには俺が気遣ってるのバレバレのようだが。
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