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「実は僕、もうすぐお兄ちゃんになるんだ!だからコレをお母さんと妹のお守りにしようと思って」
そう言ってガキは、神愛花のキーホルダーを大切そうにギュッと握り締めた。
「……僕にはお兄ちゃんがいるんだ。ちょっと前に天国に行っちゃったけど……。僕ね、お兄ちゃんみたいなカッコいいお兄ちゃんになりたいんだ!だからカッコいいお兄ちゃんになれるように、今日頑張ってみた。ちょっとは天国にいるお兄ちゃんに近づけたかな……」
そう言ってガキは空を見上げた。
……駄目だ。もう我慢出来ねぇ。
ここにいるんだよ。お前の大好きな兄貴はここにいて、ずっとお前の事を見守ってんだよ!
次の瞬間、俺はガキの手を取って、雨音と手を握らせようとした。
だが、
「……やめてください」
そう言って、中学生の神様が俺を止めた。
「何でだよ?雨音がアンタの弟と手を握れば、アンタの姿が見えて会話する事だって出来るんだぞ?」
「わかってます。ですが、今僕が弟と会ってしまうと弟のせっかくの決意が揺らいでしまうかも知れません。だから、いいんです」
そう言って神様は微笑んだ。
……馬鹿野郎。無理して笑ってんのがバレバレだ。
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