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「……お兄さん、さっきから何言ってるの?……何で泣いてるの?」
ガキの言う通り、俺は無意識の内に涙を流していた。
「なっ、何でもねぇよ!……おいガキ、天国にいった兄貴みたいに、いい兄ちゃんになれよ」
「……うん!絶対なる!ありがとうお兄さん!」
ガキはそう言って満面の笑みで微笑むと、一緒に来ていたらしい父親と思われる人の元へと走って行った。
「それでは、僕も行きます。ありがとうございました」
「あぁ……じゃあな」
俺がそう言うと中学生の神様は微笑み、ガキの元へと戻っていった。
俺がゆっくりと雨音の手を離すと、ガキの元へと戻っていく神様の姿は俺の目から煙のように消えていった………。
「……心ちゃん、あの子にキーホルダー譲ってよかったね」
そう言って雨音は、俺にハンカチを差し出してきた。
「いっ、いらねぇよ!てか泣いてねーし!」
そう言って俺はハンカチの受け取りを拒否した。
俺は相変わらず、なかなか素直になれねぇなぁ……。
「いいから。泣くのはカッコ悪い事じゃないんだよ?涙だって体に溜めると毒になっちゃうよ」
そう言って雨音は、ハンカチで俺の目に僅かに残っていた涙を拭き取ってくれた。
……優しいな雨音は。だから俺はコイツの事を好きになったのかな……。
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