サヨナラなっちゃん

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「あちぃ……」 俺は最近、この言葉しか使っていないような気がする。 飛鳥祭が終わり、8月ももう中旬に突入した。 セミの鳴き声はより一層多くなり、俺の感じる暑さを倍増させた。 そんな中でも、俺は悲しい事に学校に向かわなければならない。 何故なら、7月に夏がまともに授業しなかったせいで単位が足りないからだ。 「とろけるぅ……」 そんな事を言いながら、俺はほとんどナナにババチャリごと引っ張ってもらう形で学校へと向かった。 そして、学校に到着。 前にババチャリで叶えて婆ちゃんに出して貰った百均の腕時計を見ると、現段階で30秒遅刻。 「ヤベェ!急ぐぞナナ!」 そう言って俺はナナと共に校舎内に入った。 たがが30秒の遅刻と思ってもらっては困る。あのドS教師は、1秒の遅刻でも鉄拳を最低5発は浴びせてくるのだ! ガラガラガラッ 俺が教室の腐った木製の引き戸を勢いよく開けた。 すると、そこにはいつものように元気よく挨拶をしてくる雨音と、適当に挨拶をしながら釣竿の手入れをしている官九郎の姿があった。 腕時計を確認すると、1分の遅刻。 終わった………今日は鉄拳8発+ミドルキックって所だろうな……。 そう覚悟を決めて、俺は教卓の方にいる夏を見た。 だが、 「いつまで立ってるのよ心一。早く座りなさい」 夏は怒るどころか、逆に優しく微笑んでそう言った。
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