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「………へっ?」
体罰を覚悟していた俺は、思わず拍子抜けしてしまった。
「ほら、早く席につきなさい」
夏はそう言ってまたしても微笑んだ。
何か気持ちわりぃな……。
「なぁ官九郎、夏の奴なんか変じゃねーか?」
とりあえず席に着いた俺は、官九郎にヒソヒソとそう話しかけた。
「ん~………。言われてみると、今日はいつもより少し優しいような気がするのぅ」
「だろ?腐った物でも食ったんかな?」
俺がそう言ったまさにその時、俺は後ろから殺気を感じた。
恐る恐る振り返ると、そこには案の定夏が立っていた。
今度こそ鉄拳が飛んでくる!
俺はそう覚悟を決めて目をつむった。
だが、
「授業を始めるから、お喋りは止めてね心一君」
夏は優しくそう言って、またしても微笑んだ。
つーか、今『心一君』って言わなかったか?
「はーい、それじゃあ教科書の74ページを開いてー」
「ちょっと待て夏」
俺は椅子から立ち上がってそう言った。
だってどう考えてもオカシイだろ。
「授業はいいから病院行けって!熱があんだろ?それとも悪いもんでも食ったのか?」
俺はそう言って本気で夏の事を心配した。
だが、
ビュン!
「ぐほぉ!!」
次の瞬間、俺は教卓から飛んできた黒板消しを顔面にモロに食らった。
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