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「……まぁそういう事だから、飛鳥村高校は今日で最後。アンタ達は9月からは隣村の高校までバスで通ってもらう事になると思うから」
「ちっ、ちょっと待てよ夏!」
スラスラと話を進める夏を、俺がそう言って止めた。
「訳がわかんねぇよ!何で潰れるんだよ!?」
「何でって、全校生徒がたったの3人よ?今まで潰れなかっただけでも奇跡的だわ」
夏は呆れたような溜め息をつきながら、俺にそう言った。
「……なっちゃんはどうなるの?隣村の高校に勤めるの?」
悲しそうな表情をしながら、雨音が静かにそう尋ねた。
「……多分それはないわ。おそらく知らない土地の学校に飛ばされるでしょうね」
夏はサラリとそう言ったが、目は何処か遠くを見ている。
あんな性格だから、平然を装ってるんだろう。
「……いつ村を出てってしまうんじゃ?」
今度は官九郎が真剣な表情でそう尋ねた。
「……早ければ明日」
「明日!?いくらなんでも急すぎんだろ!!」
俺は思わずそう大声で言ってしまった。
「うるさいわね!仕方ないでしょ!!……じゃあ私帰るから、アンタ達もさっさと帰りなさいよ」
夏は俺達にそう言うと、顔を伏せたまま逃げるように教室から出ていった。
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