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夏が教室から出ていってから少しの間、俺達は何も話せなかった。
今朝やけに夏が優しかったのは、最後ぐらい優しくしてやろうってつもりだったのか?
クソッ、気にくわねぇ………。
「……ねぇ心ちゃん官ちゃん、なっちゃんのお別れ会やろうよ♪」
突如沈黙を破って、雨音が笑顔でそう切り出した。
雨音がこういう時でも笑えるのは、心が冷たいからじゃない。悲しくても周りに気を使って笑顔でいられる強さを持ってるからだ……。
「……そうじゃの!皆で盛大になっちゃんを見送ってやるべきじゃ!」
「よーし♪そうと決まったらお別れ会の準備しなきゃ♪私は教室の飾り付けするから、官ちゃんは何か大物釣ってきてよ♪」
「おぉ!任せろ!」
そう言って官九郎は釣竿を手に取り、駆け足で教室から出ていった。
「心ちゃんはお菓子とかジュースとか買ってきて♪」
「あの村の外れの店でか!?どんだけ時間がかかると思ってんだよ!?」
「いいから買ってきて!」
「……はい」
雨音に大声で言われた俺は素直にそう返事をして、ナナを連れて教室から出ていった。
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