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「この木は『神愛樹(シンアイジュ)』って言うんだよ♪神に愛された樹って書いて、神愛樹♪私達のこの飛鳥村(アスカムラ)の守り神だよ♪」
「へぇ~、立派なもんだな」
俺はそう言って神愛樹を見上げた。
てかここ飛鳥村っていうんだな。
その前にまず何県だよ?
「ねぇ心一君。私の手握って♪」
「はぁ?何でだよ!?」
「いいからいいから♪」
そう言って海野は、無理矢理俺の手を握ってきやがった。
「なっ!離せよ………!?」
そう言って手を振りほどこうとした時、俺の目に神愛樹の周りを飛び回る奇妙な光が見えた。
「………蛍…か?」
いや違う、蛍にしてはデカ過ぎるし、何より光が7色に光っている……。
「あの光はね、『神様』だよ♪」
「神様?んなもんいる訳が………うわぁ!?」
話す途中で俺は思わず驚いて声を上げちまった。
無理もねぇだろ。
さっきまで1つだけだった7色の光を放つ物が、いつの間にか数えきれない程の数に増えていて、神愛樹をまるでクリスマスツリーのように輝かせてたんだから。
「スゲェ綺麗………何だよコレ!?」
「だから神様だってば♪この木にお世話になった虫や鳥達が、死んじゃった後に『神様』になって、この木に宿ったんだよ♪だから神愛樹っていうの♪沢山の神様に守られながら育ったから、神愛樹はこんなに立派になったんだよ♪」
俺は海野の言葉を聞きながら、婆ちゃんのあの言葉を思い出していた。
『どんな物にも神様が宿っている』
婆ちゃんの言う通り、今俺の目の前には木に宿った神様が見える。
婆ちゃんは、嘘なんかついてなかったんだな………。
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