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「………とりあえず離れろって。なっ?………あれ?」
俺が困りながら夏に優しくそう言うと、夏は俺の胸に顔を埋めたままスヤスヤと寝息を立てていた。
ったく、やっぱり酔ってたんじゃねーかよ……。
俺はとりあえず夏を運んで教室の隅に寝かせると、ゆっくりと立ち上がった。
『夏を教師のまま村に残してくれ』なんて大きな願いは今まで叶えて貰った事ねーけど、やるだけやってみてやるか。このどうしようもない先公の為に……。
「心ちゃん、なっちゃんは?」
俺が教室から出てくるなり、雨音が心配そうな顔をしてそう話しかけてきた。
その後ろにいる官九郎も、どこか悲しそうな顔をしている。
あれだけ大声で話したから、間違いなくコイツらにも夏との会話が聞こえちまってたんだろうな……。
「夏ならそこの教室の隅で寝てるから、後頼むわ。俺ちょっと、やる事ができたから」
俺はそう言って雨音の返事を聞く前に歩き出して、雨音と官九郎の横を通り過ぎて外に出る為に階段へと向かった。
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