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「なぁ婆ちゃん、願い叶えてくんねーか?」
ババチャリに股がるなり、俺は藪から棒に婆ちゃんにそう言った。
「何じゃいきなり、さっきはアタシの事を無視しとったクセに」
「いやっ、その、実はな………」
そうして俺は、学校がなくなる事や夏の事を婆ちゃんに話した。
「なるほどのぅ。それで心一は、先生に教師として村にいて欲しいと?」
「……まぁ、そんな所だ」
俺は少し恥ずかしかったが、素直にそう答えた。
「やっ、やっぱ無理か?」
「心一よ、アタシを誰だと思ってるんじゃ?神様じゃよ?」
そう言って婆ちゃんは、ニヤリと笑った。
つまり………叶えられるって事が!?
「出来んのか婆ちゃん!?」
「全てはお前の願う気持ちと自転車を漕ぐ力次第じゃ。やるだけやってみぃ」
「おう!恩にきるぜ婆ちゃん!」
俺はそう言って、ババチャリを漕ぎ出した。
そして数分後、俺は長い坂道のてっぺんに到着した。
坂道なら思いっきりチャリ漕げるから、願いも叶えやすくなるはずだ。
「頼むぜ婆ちゃん!」
「ヒャッヒャッヒャッ!頑張ってみぃ!」
そして俺はペダルに片足を掛け、思いきり踏み込んでババチャリを漕ぎ出した。
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