サヨナラなっちゃん

14/25
前へ
/246ページ
次へ
「なぁ婆ちゃん、願い叶えてくんねーか?」 ババチャリに股がるなり、俺は藪から棒に婆ちゃんにそう言った。 「何じゃいきなり、さっきはアタシの事を無視しとったクセに」 「いやっ、その、実はな………」 そうして俺は、学校がなくなる事や夏の事を婆ちゃんに話した。 「なるほどのぅ。それで心一は、先生に教師として村にいて欲しいと?」 「……まぁ、そんな所だ」 俺は少し恥ずかしかったが、素直にそう答えた。 「やっ、やっぱ無理か?」 「心一よ、アタシを誰だと思ってるんじゃ?神様じゃよ?」 そう言って婆ちゃんは、ニヤリと笑った。 つまり………叶えられるって事が!? 「出来んのか婆ちゃん!?」 「全てはお前の願う気持ちと自転車を漕ぐ力次第じゃ。やるだけやってみぃ」 「おう!恩にきるぜ婆ちゃん!」 俺はそう言って、ババチャリを漕ぎ出した。 そして数分後、俺は長い坂道のてっぺんに到着した。 坂道なら思いっきりチャリ漕げるから、願いも叶えやすくなるはずだ。 「頼むぜ婆ちゃん!」 「ヒャッヒャッヒャッ!頑張ってみぃ!」 そして俺はペダルに片足を掛け、思いきり踏み込んでババチャリを漕ぎ出した。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18310人が本棚に入れています
本棚に追加