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「……よぉ雨音、どうしてここが?」
「ナナちゃんに着いていったらここに着いたの。ナナちゃんの動物の勘が働いたんだよきっと」
「そうか……ありがとなナナ」
俺はそう言って、ナナの頭を撫でた。
するとナナは、嬉しそうに尻尾を振った。
「大丈夫心ちゃん?掴まって」
「あぁ」
そうして俺は雨音の肩を借りて立ち上がった。
「早くお医者さん行こっ!」
「……ちょい待ってくれ雨音」
そう言って俺は、俺の肩を担いで歩き出した雨音を止めた。
……俺はまだ、行く訳にはいかねぇ。
「わりぃけどババチャリと俺を坂の上まで運ぶのに、手ぇ貸してくんねーか?」
「……まさか心ちゃん、なっちゃんの転勤を止めようとしてその怪我したの?」
「……まぁ、そんな感じだ」
ハッキリと『そうだ』と言うのが恥ずかしかった俺は、曖昧にそう言葉を返した。
「でもその怪我じゃ……」
「わかってる。でも後悔したくねぇんだ」
「………わかった」
そう言ってくれた雨音は、俺を支えて坂の上まで運んでくれた。
そして、すぐにババチャリも運んできてくれた。
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