18310人が本棚に入れています
本棚に追加
「ええんじゃよ奥さん。元気になって何よりじゃ心一君」
「はっ、はぁ……ありがとうございました」
俺は驚きを隠せないまま、村長の弟である寛七さんにお礼を言った。
「右足の怪我は大したことないが、左足首は骨にヒビが入っとったから無茶をしちゃいかんぞぃ。もう帰っても大丈夫じゃからな。お大事に」
寛七さんはそう言うと、ニコリと微笑んでベッドのカーテンから出ていった。
「先生は色んな科の医学を学んだ凄い人なんですって。凄いわよねー」
「へぇ~、村長とは比べ物にならない程良くできた弟さんだな」
俺は素直に感心しながらそう言った。
その時、
「気づいたんだね心ちゃん!よかったー♪」
ベッドのカーテンを勢いよく開けて入ってきた雨音が、そう言って俺に抱きついてきた。
「うわっ!馬鹿っ!足痛い足痛い!!」
「うふふ、若いわねぇ♪もう大丈夫そうだから、私とお父さんはナナと自転車持って帰るからね」
「バッ!変な誤解してんじゃねーぞお袋!」
俺は慌ててそう言ったが、お袋はニヤニヤしたまま出ていった。
畜生、腹の立つ親だな……。
最初のコメントを投稿しよう!