サヨナラなっちゃん

21/25
前へ
/246ページ
次へ
「ええんじゃよ奥さん。元気になって何よりじゃ心一君」 「はっ、はぁ……ありがとうございました」 俺は驚きを隠せないまま、村長の弟である寛七さんにお礼を言った。 「右足の怪我は大したことないが、左足首は骨にヒビが入っとったから無茶をしちゃいかんぞぃ。もう帰っても大丈夫じゃからな。お大事に」 寛七さんはそう言うと、ニコリと微笑んでベッドのカーテンから出ていった。 「先生は色んな科の医学を学んだ凄い人なんですって。凄いわよねー」 「へぇ~、村長とは比べ物にならない程良くできた弟さんだな」 俺は素直に感心しながらそう言った。 その時、 「気づいたんだね心ちゃん!よかったー♪」 ベッドのカーテンを勢いよく開けて入ってきた雨音が、そう言って俺に抱きついてきた。 「うわっ!馬鹿っ!足痛い足痛い!!」 「うふふ、若いわねぇ♪もう大丈夫そうだから、私とお父さんはナナと自転車持って帰るからね」 「バッ!変な誤解してんじゃねーぞお袋!」 俺は慌ててそう言ったが、お袋はニヤニヤしたまま出ていった。 畜生、腹の立つ親だな……。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18310人が本棚に入れています
本棚に追加