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「本当によかったね心ちゃん!倒れた時はどうしようかと思ったよ~」
「あぁ、サンキューな雨音……そっ、そろそろ離してくんねーかな?」
「あっ、ゴメンね」
そう言って雨音は、ようやく俺から離れた。
いざ離れられると、少し名残惜しいな……。
「てか、夏はどうなったんだ!?俺の願いは結局駄目だったのか!?」
「あっ!心ちゃんの事で頭が一杯ですっかり忘れてたよ!お婆さんに聞いてみたら?」
「そうだな!……って、ババチャリは親父とお袋が持って帰っちまったんだった……」
そう言って俺は、頭を抱えて唸った。
「なっちゃん家に行ってみようよ!この病院から結構近いから!」
「そうだな!よしっ!」
そう言って俺はベッドの横に置いてあった松葉杖を取り、ベッドから降りて立ち上がった。
左足首の骨にはヒビが入っている為、ギプスが付けられている。
「大丈夫心ちゃん?歩ける?」
「余裕余裕!行こうぜ雨音!」
そうして俺達はベッドのカーテンから出て、病院を後にした。
「フォッフォッフォッ、若いのぅ。あっ、治療費………まぁ、ええじゃろう」
病院の窓からその様子を見守っていた寛七は、そう呟きながらコーヒーをすすった。
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