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ピンポーン
雨音と共に夏の家に着いた俺はさっきから呼び鈴を何回も押しているのだが、どうも人がいる気配がない。
「出ねぇじゃねぇかよ畜生!」
「もしかして、もう引っ越しちゃったのかな……」
雨音はそう言って、シュンと肩を落とした。
「まだ諦めんな雨音。学校に行ってみようぜ」
「……うん♪そうだね♪」
そう言って笑顔を取り戻した雨音と共に、俺達は今度は学校へと向かった。
「大丈夫心ちゃん?」
「あぁ、何とかな」
学校に着いた俺は、階段を上るのに四苦八苦していた。
この校舎はかなり古いから、当然手すりなんて物は付いてない。
結局雨音の助けも借りながら階段を上りきった俺は、遂に雨音と共にいつも使ってる教室の前に立った。
ここに夏がいなかったら、正直もう望みは薄い……。
俺は雨音に目で合図を送ると、腐った引き戸をゆっくりと開いた。
ドスッ!
引き戸を開けた瞬間、何故か俺の顔面に出席簿ブーメランがクリーンヒットした。
そして、
「遅刻よ心一、今何時だと思ってんのよ?」
いつものように不機嫌な顔をした夏が、教卓の前に立っていた。
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