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「なっちゃん!引っ越してなかったんだねー!!♪」
そう言って雨音は、顔面を押さえて痛がっている俺をほったらかして夏に抱き着いた。
その様子を見て、最初から教室にいた官九郎は嬉しそうに笑っていた。
「いてて……おい夏!テメェどういう事だよ!?てが引っ越すんじゃなかったのかよ!?」
「それが私にもよくわかんないんだけど、昨日の夜中に突然電話があって、『飛鳥村高校の廃校は取り止めになったから、引き続き教師としてヨロシク』って言われたのよ。全く、お偉いさんは何考えてんのかわかんないわね」
そう言って夏は、呆れたように溜め息をついた。
でも、ほんのりと顔が赤い所を見ると、なんだかんだ言ってもここに残れる事が嬉しいのだろう。
俺の願い、叶ってたんだな………サンキュー婆ちゃん……。
「それより心一、アンタその怪我どうしたのよ?」
「あっ、あぁコレか?えっと……その………チャリで転けたんだよ」
「プッ!馬鹿ねぇアンタ」
「んだとこのクソ教師!誰の為にこんな怪我を………!」
そこまで言った所で、俺は言葉をグッと堪えた。
ババチャリの事を話すと、色々と面倒だしな。
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