夏の終わりの海

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ガラガラガラッ 「うぃーっす」 俺がナナを連れて教室に入ると、お馴染みの3人が既に教室に来ていた。 「珍しく遅刻しなかったわね心一」 「夏の体罰はもううんざりだからな」 俺はそう言って自分の席に腰を下ろし、机の中に入れておいたウチワでパタパタと自分を扇いだ。 「よう雨音、8月ももう終わるってのに暑いよなぁ」 「うん……そーだね……」 俺が挨拶がわりに雨音に言った言葉に、雨音はボソボソとそう言って言葉を返した。 ……おかしい。雨音にいつもの元気がねぇ。 「雨音、何かあったのか?夏バテとかか?」 「えっ?いやっ、何言ってんの心ちゃん!私はいっつも元気だよー♪」 俺が心配して声を掛けると、雨音はいつもの笑顔でそう言った。 確かにいつもの笑顔だが、何処か違和感がある……。 「雨音、やっぱりお前…」 「さぁ皆!今日は授業止めて海に行くよー!!」 突如俺の言葉を遮って、夏が大声でそう言った。 てか、授業止めて海? 「おぉ!海で釣りじゃななっちゃん!」 「違うわよ官九郎。泳ぎに行くに決まってんでしょ。よく考えたら、すぐ近くに海があるのに今年は一度も泳いでなかったからね」 夏の言う通り、確かにこの教室から見える位置に海があるってのに一度も泳ぎに行ってねぇな。 「やったね心ちゃん!海だって♪」 「あっ、あぁ。そうだな」 喜んで俺に話しかけてきた雨音の顔は、違和感のないいつもの笑顔に戻っていた。 結局さっきの元気のなさは、何だったんだろう………。
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