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ふと気がつくと、夕日はもう4分の3くらい沈んでいた。
夕日が沈むのが早いのか、それとも俺が雨音に見とれすぎてたんだろうか?
「……まぁ、あれだな。夏が終わると、少しは過ごしやすくなりそうだな」
俺は何となくそう言った。
すると何故か、雨音が悲しそうな顔をした。
「……えーっと、俺変な事言ったか?」
「ううん。違うの」
雨音はそう言って、首を横に振った。
「……実はね心ちゃん、私、夏が終わったら………」
「……夏が終わったら?」
「………ううん。何でもない♪」
そう言って、雨音はいつものように明るく微笑んだ。
………一体何なんだよ?
結局俺は心がスッキリしないまま家路に着いた。
悲しそうな表情をする理由を聞くチャンスはあったが、何となく聞いちゃいけないような気がしたんだ。
その日の深夜の事だった。
俺の元に『雨音が倒れた』と連絡が入ったのは………。
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