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「雨音!!大丈夫か………」
俺はそこまで言った所で言葉を止めた。
何故なら、カーテンの向こうでは雨音が母親に手伝ってもらいながら着替え中だったからだ。
「……しっ、心ちゃん!?」
「あっ、ごっ、ごごごごごめんっ!!」
情けない程に赤面しながら俺はそう謝って、急いでカーテンを閉めた。
「馬鹿ねぇ心一。だから『入っちゃ駄目』って言おうとしたのに」
「ならちゃんと言ってくれよ夏!!」
俺は涙目で夏にそう言った。
………待てよ?何か大事な事忘れてないか俺?
「………って、んな事はどうでもいい!雨音結構元気じゃねーかよ!病気とか怪我とかじゃないのか!?」
「雨音は貧血で倒れて運ばれたんじゃよ。しばらく寝とれば良くなるそうじゃ」
………貧血?
……大袈裟に言いやがってお袋め。帰ったら覚えとけよ!
「……まぁ、とりあえず何ともなくてよかったよ」
「アンタが勝手に慌ててただけでしょ。まったく」
そう言って夏は呆れた溜め息をついた。
その時、
「皆~、もう入っていいよ♪」
カーテンの向こうから、いつもの元気な雨音の声が聞こえてきた。
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