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今俺は、病室のベッドのカーテンの中で雨音と2人きりだ。
話って何だろう?まさか………こっ、告白とか!?
「……心ちゃん」
「はっ!はいぃ!」
アホな事を考えていた俺は、思わず大声で返事をしてしまった。
「……実は私、心ちゃんにずっと隠してた事があるんだ」
「隠してた事?」
「うん……」
そう言った雨音の顔は、俺の嫌いな悲しそうな顔だった。
「………ねぇ心ちゃん、初めて出会った時の事覚えてる?」
「へっ?あっ、あぁ。覚えてるよ」
雨音は何故か、急に話を変えてきた。
「川で魚を見てた心ちゃんを、私が脅かしちゃって川に落としちゃったんだよね」
「そうだったな。あの時は本当に参ったぜ」
俺がそう言って笑うと、雨音も吊られて笑った。
「んでもってその後、雨音が神愛樹に俺を無理矢理連れていって、神様見せてくれたんだよな。そういやあの日から神愛樹の神様見てないな。退院したらまた見せてくれよな?」
「……うん♪わかった♪」
そう言って雨音は微笑んだが、その笑顔は何処か寂しい……。
「……心ちゃんと出会ってまだ2ヵ月しか経ってないんだね」
「本当だな。1日1日が濃すぎて、もっと長い事この村に居たように感じるよ」
「………私はもっと早く出会いたかったな」
雨音は意味深にそう呟くと、寂しそうに笑って見せた。
……何なんだ?どういう意味だ?
「あのね心ちゃん……」
「何だ?」
「私ね、夏が終わったら死んじゃうんだ」
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