愛しい人

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………何を言ってるんだ雨音は? 夏が終わったら死ぬ?夏は今日が最終日じゃねーかよ。 ……明日には、雨音が死んでるっつーのか? 「ばっ、馬鹿だなぁ雨音!貧血で死ぬ訳ねーだろ!」 「……本当はね、貧血って嘘なんだ。なっちゃんや官ちゃん、それに心ちゃんに心配かけない為の……」 ……何だよそれ?訳わかんねーよ。 「じっ、じゃあ本当の病気は何だってんだよ!?」 「……私の病気に病名はないの。神様が私だけに与えた病気だから」 「……どういう事だよ?」 俺がそう尋ねると、雨音はゆっくりと目をつむり、昔の事を思い出すようにして話し出した。 ───あれはまだ私が7歳の頃。 私は官ちゃんと川で遊んでて足を滑らせて、そのまま溺れてしまったの。 凄く苦しかった。 怖かった。 死にたくなくて、必死に助けを求めて手を伸ばした。 その時、白くて長い綺麗な手が私の手を掴んで川の中から引き上げてくれたの。 その人は私を抱えるとフワリと浮き上がって、私を川岸に寝かせてくれた。 薄れる意識の中で見たその人の体は綺麗な白い光に包まれてて、とても綺麗な長い髪をしていた。 その時はわからなかったけど、今ならわかるの。 あの時私を助けてくれたのは、写真でしか見た事のない亡くなったお母さんの守護霊だったんだって………。
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