愛しい人

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─── 「……それで、雨音は今日までしか生きらんねーってのか?」 「……うん」 ……信じたくなかった。 でも雨音は嘘をつくようなヤツじゃないし、何より俺は神様が存在する事を知っている。 だから、雨音の言ってる事は真実なのだろう……。 「でっ、でも雨音別に体調悪そうじゃねぇじゃん!大丈夫だってきっと!」 「……うん。確かに苦しくないし辛くもないよ。でもね、先生の話だと少しずつ脳の機能が停止していってて、聞いた事もない病気だから治しようもないんだって。私、おそらく今日中には完全に脳の機能が停止しちゃうんだってさ………」 ……脳が停止? ……本当に雨音が死ぬのか? 「そっ、そんなの嘘だ!あの先生がヤブ医者なだけだって!弱気になんなよ雨音!なっ?」 俺がそう言うと、雨音は首を横に振った。 「先生は間違ってないよ心ちゃん。これは絶対に治らない神様の病気。でも私、全然怖くないよ。だって本当なら川で溺れた10年前のあの日、私は死んじゃってたんだから」 雨音はそう言って笑った。 でも声が微かに震えている。 何でいつも俺に気を使うんだ?たまにはお前も弱さを見せてくれよ雨音………。
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