愛しい人

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「雨音!ババチャリがある!俺が婆ちゃんに頼んで、お前の病気治してやるよ!」 「えっ?でも……」 「大丈夫だって!必ず治してやる!約束だ!」 俺はそう言って右手の小指を雨音の前に差し出した。 「……うん♪信じてるよ♪」 そう言って雨音は俺の小指に自分の小指を絡ませ、俺達は指切りをした。 「それじゃあ行ってくるから!待ってろよ雨音!」 俺はそう言うなり、ベッドの周りのカーテンを開いて外へと飛び出した。 雨音の病気を早く治してやんねーとな! 病院を出るなり、俺は停めておいたババチャリに飛び乗った。 「雨音ちゃんの様子はどうじゃった心一?」 「苦しくはないらしいんだが、結構ヤバいらしいんだ。頼む婆ちゃん!雨音の病気を治してくれ!」 俺はそう言って、婆ちゃんに両手を合わせてお願いした。 「それは構わんが………一体何の病気なんじゃ?」 「あぁ。それがな……」 そうして俺は、雨音の話の一部始終を婆ちゃんに話して聞かせた。 「なるほどのぅ……」 「わかってくれたんなら早く頼むよ!俺精一杯漕ぐからさ!」 俺はそう言ってペダルに足を掛けた。 「心一よ」 「何?」 「……スマンが、その願いはアタシには叶えられん」
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