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【心一か?誰かと思ったぜ!ははは!】
受話器越しに聞こえてくる祥の笑い声を聞くと、少しだけ心が落ち着いたような気がした。
【んで、何か用か?ひょっとして、お前が好きになった例の女の子の事か?】
「いやっ………それが色々とあってな……」
呟くようにそう言うと、少し間を置いてからこれまでの事を祥に話して聞かせた。
神様が実在する事。
ババチャリの事。
そして、雨音が死んでしまう事……。
最後の方は自分でもうまく説明出来ているのかわからなくなっていたが、祥は黙って聞いていてくれていた。
【……そうか。心一が惚れたその雨音ちゃんって子には、是非一度会って見たかったんだけどな……】
「……つーか、お前いきなり“神様”だの“婆ちゃんの幽霊”だの“神様の病気”だの言われて信じられるのかよ?」
【じゃあ嘘なのか?】
「うっ、嘘じゃねーよ!」
俺は思わず大声でそう言ってしまった。
【じゃあ信じるよ】
「……ありがとな祥」
【お前本当に変わったよな。心一の口から『ありがとう』なんて言葉、俺初めて聞いたぜ?】
「あぁ……全部雨音のお陰だよ」
そう答えて、俺は未だに開かない診察室の扉を見つめた。
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