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「……なぁ祥、俺はどうすりゃいいんだ?ババチャリ使っても雨音は助けられねーし、今の俺には側にいる事ぐらいしかできねーんだよ……でも、側にいると辛いんだ。だって……明日には雨音はいないんだぞ?」
【……まぁなんだ、俺にはあまり立派な事は言えねーけどさ、一番辛いのはやっぱ雨音ちゃん本人だそ?きっとお前の何倍も辛いと俺は思う】
祥のその言葉を聞きながら、俺は雨音との思い出を振り返っていた。
今思えば、雨音は10年も前から死に怯えていたんだな。
なのに、雨音は人の事ばかりを考えて、笑顔を絶やさなくて、死の一歩手前まで来てる今現在でさえ、一度も泣いてる姿を見た事がない。
……女のクセに強すぎんだよ。
俺なんかスゲー弱虫で、雨音の前で何度も泣いて……………今だってまた泣いてるのに………。
【……どうかしたか心一?でしゃばった事言い過ぎたか俺?】
「……いやっ、違うんだ祥。話聞いてくれてありがとな」
俺は祥に泣いている事がバレないようにそう言った。
その時、
ガチャッ
突如、診察室の扉が開いた。
「話聞いてくれてありがとな祥!まっ、またな!」
【あっ、オイ!ちょっ…】
俺は祥を無視して慌てて電話を切り、急いで涙を拭き取った。
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