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「あっ♪待っててくれたの心ちゃん?」
「あっ、あぁ。まぁな」
俺はそう言って雨音に笑いかけた。
「心一君、雨音ちゃんを病室まで運んでいってもらっていいかの?ワシはまだやる事があるんでな」
寛七さんにそう頼まれ、雨音の座っている車椅子を寛七さんから受け渡された。
俺は車椅子を押して病室に入り、雨音の軽い体を抱き上げてベッドの上に寝かせた。
「ありがとう心ちゃん♪私重くなかった?」
「はぁ?むしろ軽すぎだっつーの」
そう言って俺は雨音に布団をかけた。
……ずっと、頭にひっかかってた事があった。
雨音が俺に『夏が終わったら死んでしまう』と打ち明けてくれた時、ババチャリを使えば治せると思った俺は雨音に『病気を治してやる』と約束してしまった。
……ひょっとしたら雨音はまだ信じて待ってくれてるかも知れない。
だけど、結局駄目だった。
約束したのに、俺は約束を守れなかった。
謝らないと………。
「……どうかしたの心ちゃん?」
「えっ?あっ!いやっ……」
突然雨音に話し掛けられた俺は、情けなく慌ててしまった。
………やっぱ、ちゃんと謝らないとな。
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