ババチャリ

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俺は自分の勘を信じ、再びまたママチャリを漕ぎ始めた。 だが、いくら漕いでも景色は一向に変わる気配がねぇ。 と言うより、暗すぎてほとんど何にも見えねぇ。 《畜生畜生畜生畜生!!》 俺はそう思いながら、汗だくになってママチャリを漕ぎ続けた。 なんで俺がこんな目に会わなきゃいけねぇんだ! こんなド田舎で暮らすなんて真っ平御免だ! また高校に行きてぇ! また祥と遊びてぇ! 「また東京に帰りてぇー!!!」 俺が思わずそう声に出して叫んだ。 その時、 「そんなに帰りたいのかぇ心一?」 誰かが突然俺の耳元で呟いてきた。 一瞬驚きはしたものの、精魂尽き果てていた俺は空耳だと勘違いしてママチャリを漕ぎ続けた。 だが、 「そんなに帰りたいのなら、帰してやろうかぇ心一?」 またしても誰かが俺の耳元で呟いてきた。 「誰だよお前!?なんで俺の名前知ってんだよ!?」 怖くなった俺は、ママチャリを漕ぎ続けながらそう叫んだ。 「そう怖がらんでもえぇ。東京に帰してやろうかと言ってるんじゃ」 何を言ってるんだコイツは? マジで訳わかんねぇ!! 「じゃあやってくれよ!俺を東京に帰してくれぇぇぇ!!」 俺は半信半疑でそう叫んだ。 その時、 カッ!! 俺の乗っているママチャリが、一瞬凄い光を発した。 そして、 「………えっ?」 光が消えた瞬間、何故か俺の目の前にいきなり大型トラックが現れた。
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