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「きっ、奇跡じゃ!まだ神愛樹の事を覚えておるとは!」
「それくらいあの子の中で、神愛樹の思い出が強かったんですよ。昔からよく神愛樹で遊んでましたからね……」
驚きを隠せない寛七先生に、雨音のお袋が優しい口調でそう言った。
「……なら俺が連れてってやるよ雨音」
俺はそう言って、車椅子の準備をした。
「無理よ心一。車椅子押しながらじゃここから神愛樹まで1時間以上かかるわ」
夏にそう言われて、俺はハッとした。
確かにここから神愛樹まではかなり距離がある。
オマケに神愛樹は険しい森の中にあるので、車椅子を押しながらではかなり厳しいだろう。
………だが、俺にはババチャリがある。
「……大丈夫。俺なら連れていける」
俺はそう言って、雨音を車椅子に乗せた。
「何を根拠に言ってんのよ!いくら頑張っても…」
「俺なら行けるんだよ!雨音に最後に神愛樹を見せてやれるんだよ!説明なら後でしてやるから………頼む」
俺はそう言って、頭を深く下げた。
「……雨音をお願いね心一君」
頭を深く下げたままの俺に、雨音のお袋は優しい声でそう言ってくれた。
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