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「雨音……思い出したのか……?」
「……うん。そうみたい……えへへっ♪」
そう言って雨音は、さっきまでの無表情ではなくて、俺の好きないつもの笑顔で笑ってくれた。
……感情も戻ったのか?
………って事は………まさか……!!
「雨音!病気が治ったんだな!?そうなんだな!?」
俺は雨音にそう問いただした。
だが、雨音の表情は笑顔から複雑な表情に変わった。
「……ううん。病気は治ってないよ。私の命は今日の12時まで。記憶や感情が戻ったのは、心ちゃんのお婆さんのお陰だよ」
雨音にそう言われて、俺はババチャリの方を見た。
雨音と手を繋いでいるので、ババチャリに触れていない状態でも婆ちゃんの姿を見る事ができた。
「……お婆さんがね、神様の力で残り僅かな時間だけ私を回復させてくれたの」
「………そうか」
呟くようにそう答えて、俺は再び婆ちゃんの方を見た。
目線の先にいる婆ちゃんは、悲しげに微笑んでいた。
「ゴメンね、心ちゃんの事忘れちゃって……」
「……何で謝るんだよ。仕方ねーだろ」
「でも、ショックだったでしょ?」
そう言われて、俺は思わず黙ってしまった。
正直ショックだった。
当然だろ?好きな子に忘れられてしまったんだから……。
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