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「うっ…!うわぁぁぁ!!!」
俺はそう叫んで、ギリギリでママチャリごと大型トラックを避けた。
大型トラックは、しつこくクラクションを鳴らしながら通り過ぎて行った。
「しっ…死ぬかと思ったぁ…」
俺はそう呟いて、ゆっくりと辺りを見渡した。
忙しそうに行き交う車達。
隙間なく立ち並ぶビル。
そして、星の見えない夜空。
信じたくないが、俺が今いるのは間違いなく東京だった………。
《夢か?夢だよな?》
そう思って俺は自分の頬をつねった。
地味にイテェ…。
とりあえず、夢じゃねぇ事はわかった。
《て事は本当に東京に帰って来たのか?あの声の奴が俺を帰してくれたのか?》
俺はそう思って、倒れているママチャリを見た。
《…とりあえず、祥の家に行くか……》
少し考えた結果そういう結論に達した俺は、倒れているママチャリを起こした。
その時、
「どうじゃ?東京に帰れて嬉しいかぇ?」
またしてもあの声が聞こえてきた。
「お前誰だよ!?何処にいるんだよ!?」
「ここじゃよここ!サドルの上じゃ!」
「えっ!?」
声の奴にそう言われてサドルの上を見ると、そこには何と言ったらいいのか、小さい人のようなものが正座をしてお茶をすすっていた。
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