君への翼

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「なっ!?なんだよこの羽は…うわぁ!!」 言葉の途中で俺はバランスを崩しそうになり、慌ててハンドルを強く握って体勢を整えた。 何故バランスを崩しそうになったのかというと、両側に生えた巨大な翼が急に羽ばたいて宙に浮いたからだ。 ………って、俺飛んでる!? 「ペダルを漕ぐ足を止めるでない心一!翼はペダルに連動して動いておるからの!」 「わっ、わかった!」 そう言って俺は、バランスをとりながらペダルを漕ぎ続けた。 漕ぐ度に巨大な翼は大きく羽ばたき、俺を乗せたババチャリはどんどん空高く昇っていった。 「……って、空飛んで何処に行くんだよ婆ちゃん!?」 「決まってるじゃろうが!天国じゃよ!」 「……はぁ!?」 婆ちゃんの唐突な発言を聞いて俺は一瞬戻ろうと思ったが、どうやって降りればいいのかわからないから仕方なくペダルを漕ぎ続けた。 ………それにしても、天国か………。 雨音は神様じゃなくて、天使にでもなってんのかな? ………てか、俺は天国に行って生きて帰れんのか?
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