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ババチャリに生えた翼を羽ばたかせながら、少し弱まった雨の降り注ぐ空へと向かって飛び続けているのだが、既に1時間は経過している。
「おい婆ちゃん!天国はまだかよ!さすがに体力が……」
「根性を見せんか心一!雨音ちゃんに気持ちを伝えるんじゃろが!」
「わかってるよ!くそっ!」
そう言って俺は、改めてペダルを踏む足に力を込めた。
「おおっ!天国への入口が見えてきたぞ心一よ!」
「えっ!?どこどこ!?」
婆ちゃんの声に反応して俺は辺りをキョロキョロと見渡したが、入口らしき物は何もない。ただ真っ暗なだけだ。
「入口なんてねぇじゃねぇかよ。嘘つきババアめ」
「そうか。死人でも神様でないお前には見えないんじゃったのぅ。もうじき入口に入るぞぃ!しっかり漕ぐんじゃぞ!」
「おっ、おう」
俺は半信半疑でそう答え、ババチャリを漕いで翼を動かし続けた。
すると、
「うわっ!!」
突然目の前が眩しくなったかと思った瞬間、俺は真っ白な床にババチャリから転げ落ちた。
………あれ?床?俺空にいたんだよな?
多少パニックになりながらも、俺は立ち上がって辺りを見渡した。
感想は二言で言える。
白い。そして果てしなく広い。
俺の立っている床は真っ白で、果てしなく続いていた。
床があるので建物ではないかと思うのだが、壁は果てしなく遠くにあるのか、それとも壁なんかないのかはわからないが、見渡す限りでは360度地平線が続いている。
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