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「……おい婆ちゃん、ここが天国なのかよ?」
「その通りじゃ」
「へー……なんか殺風景にも程があるな。俺は雲の上にある綺麗な所をイメージしてたんだが…!?」
俺は話しながら婆ちゃんの方を振り返った時、驚いて思わず言葉を止めてしまった。
何故なら、いつもはババチャリのベルに乗れるくらいの小さいサイズの婆ちゃんが、生前の時の普通の人間サイズの姿で立っていたからだ。
「えっ!?なっ、何で!?」
「この姿の事かの?天国はまぁ色々と不思議な所でのぅ、天国では生前の姿でいる事ができるんじゃよ。それに、ババチャリに触れずともアタシが見えるじゃろ?」
「あっ……」
婆ちゃんに言われて気がついた。
確かに俺はババチャリに触れていないのに、婆ちゃんの姿が見えるし会話する事もできてる。
「……まぁ、細かい事はどうでもよい」
「はっ!そうだよ!雨音は何処にいんだよ!?雨音どころか、何一つないじゃねぇかよ!」
本来の目的を思い出した俺は、真っ白な空間を見渡しながら婆ちゃんにそう問い詰めた。
「慌てるでない心一。大変なのはこれからじゃよ。果たしてあの方を説得できるかどうか……」
………ん?“あの方”って誰だ?
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