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「……確かに俺が駄目だったからこんなに未練残して、婆ちゃんに無理してもらって今ここにいるんだ。……一言でいいんだ。たったの一言で………だから、お願いします……」
そう言って俺は、真っ白な床に手を付き、生まれて初めて土下座をした。
……俺は自分でもわかる程無駄にプライドが高い人間だ。
でも今は、プライドなんてクソくらえだ。
こんな事で雨音にもう一度会えるなら、俺は何時間だって土下座を続けられる……。
「……アタシからもお願いします白神様」
「何度言われても無理だキヨよ。それは神の掟に反する。お主もよくわかっておろう?」
その言葉を聞いた俺は、土下座の体勢からガバッと顔を上げた。
「掟なんて破ればいいだろ!大体白神様が最高位の神様なんだろ!掟なんて変えちまえばいいじゃねーかよ!」
「ふざけるな小僧!先代より受け継がれてきた大切な掟を変えられるか!……それに小僧、貴様のように死者にもう一度会いたいと願った者が、一体何人いると思う?」
……俺と同じように願った者?
……きっと沢山いるだろうな。
家族を亡くした人。
ペットを亡くした人。
友人を亡くした人。
恋人を亡くした人。
……きっと皆、俺みたいに『もう一度会いたい』って思ったはずだ。
俺には神様の婆ちゃんがいたから、たまたまここまでこれただけだもんな……。
「……わかるであろう?貴様だけ死者との再会を許したら、あまりにも不公平であろう」
………確かにその通りだな。
………畜生……。
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