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……どうせ後には退けねぇんだ。
見つけてやるよ。雨音の人魂を。
そう決意した俺は、光の飛び交う中へと歩き出した。
……歩いていく先はまさに『光の草原』。
一歩進む度に、足元に密集している七色の光の玉が、まるでタンポポの綿毛のようにフワリと空中へと舞い上がる。
その光景はとても綺麗で、ずっと見ていても飽きない程だ。
………だが、今は綺麗だのと言っている暇はない。雨音の人魂を探さないと。
しかし、正直全くわからねぇ。
光の草原は果てしなく続いていて、足元にも空中にも無数の人魂がある。
見た目はどれも七色に光っていて、これといった違いもわからない。
………それでも見つけるんだ。
大丈夫。きっと見つけられる……。
「雨音!何処だよ?いるんだろ?」
俺は試しに、大声でそう読んでみた。
……だが、やっぱり返事はない。
次に俺は足元の人魂をかき分けて、1つ1つの人魂をよく見てみた。
だが、やっぱりどれも同じに見える。
………無茶苦茶じゃねーかこんなの。
……無理だ。無理だよ雨音。俺にはお前がどれなのかわからねぇよ………。
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