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「………心一、目を閉じてみて」
急に、離れた所からナナの声が聞こえてきた。
「黒よ!助言する事は認めておらぬぞ!」
「いいじゃないのよ白。いい心一?人魂はその名の通り『人の魂』。生前どんな姿であっても、魂になれば皆同じ姿になるの。だから視覚に頼っちゃ駄目」
ナナのアドバイスを聞いた俺は、ゆっくりと目を閉じてみた。
すると、当然だが視覚は真っ暗。
さっきまであんなに沢山あった綺麗な人魂も、今は1つも見えない………はずだった。
……何でだ?
……何で目を閉じてるのに、光が見えるんだ?
真っ暗闇の中に、本当に針で刺した程度の小さな光が確かに見える。
俺は目を閉じたまま、その小さな光を目指して歩き出した。
一歩、また一歩と進む度に、光は次第に大きくなっていく。
そして光の目の前まで来た時、その光は丁度卓球のピン球程の大きさの人魂である事がわかった。
その人魂もやはり七色の光を放っていて、見とれる程綺麗だった。
……だが、この人魂は特別綺麗に見える。
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