18309人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はその人魂を両手ですくうように易しく手に取った。
とは言っても触れる事はできず、俺の手のひらの上をフワフワと浮いているだけなのだが。
「………雨音か?」
人魂にそう尋ねると、僅かだが光が一瞬強くなったように思えた。
………わかる。
……雨音だ。この人魂は………。
「………白神様!コレだ!この人魂が雨音だ!!」
俺は目を開けて後ろを振り返り、遠くの白神様に向かってそう叫んだ。
すると白神様は、不満そうな顔を俺に見せながら口を開いた。
「………正解だ」
白神様がそう言った瞬間、俺の手のひらの上の人魂は七色の光をより強く放ち、徐々に大きくなり人の形を型どり始めた。
そして、
「………ふぇ?」
光が止むと、そこには訳がわからないといった顔をした女の子が立っていた。
その女の子は誰よりも愛しく、
誰よりも美しく、
誰よりも俺が会いたかった人………。
「……あ……まね………?」
今目の前にいるその人の名を呼ぶと同時に、俺の目から止めどなく涙が溢れてきた。
最初のコメントを投稿しよう!