18309人が本棚に入れています
本棚に追加
門を抜けた瞬間、ババチャリから再び真っ白な翼が生え、俺はゆっくりとペダルを漕いで翼を羽ばたかせながら、ゆっくりと地上に向かって降りていった。
辺りは真っ暗で何も見えないが、天国に行く以前に降っていた雨は完全に止んでいた。
地上に向かって降りていく間、俺は決して後ろを振り向かなかった。
バランスを上手く取るのに一杯一杯だったのも事実だが、振り返ったところで雨音はもう見えないんだから意味ないしな……。
ゆっくりと近づいてきた地上に見えた1本の街灯に向かって、俺はハンドルを切ってゆっくりと降りていった。
先ずは前輪が地面に付き、その後に後輪が地面に付いて俺は無事地上に降り立った。
「……ふぅ」
軽く溜め息を付きながら、俺はババチャリのブレーキを握って止まろうとした。
だが、
ズボッ
「うわぁ!!」
ババチャリの前輪が目の前にあった深い水溜まりに落ち、俺は前方へと勢いよく投げ出された。
最初のコメントを投稿しよう!