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「じゃあ何か1つでも田舎でよかった事はなかったかぇ?」
「う~ん……あっ!あの神愛樹ってのは凄かったな」
「それじゃあ今度は『もう一度神愛樹が見たい』と願いながら漕いでみるんじゃ」
「ヘイヘイ」
俺は婆ちゃんに適当に返事をして、意識を集中させてババチャリを漕ぎ始めた。
神愛樹が見たい…
神愛樹が見たい…
神愛樹が見たい…
「よしっ!行くぞぃ!」
婆ちゃんがそう言った瞬間、ババチャリは東京にワープした時のように眩しい光を放った。
そして、
「うわぁ!!」
次の瞬間、俺の目の前に突如神愛樹が現れた。
神愛樹の馬鹿デカイ根っこにババチャリの前輪が引っ掛かり、俺の体は投げ出されて神愛樹に顔面からぶつかった。
「いってぇ~………もっと安全にワープ出来ないのかよクソババア……」
俺はそう呟いて、倒れているババチャリを睨みつけた。
それから程なくして、俺はババチャリを漕いで家に戻って来た。
家に着くと、親父とお袋は庭に畑を作っていた。
《なるほど、これからは自給自足生活になる訳か………》
そう思って俺は溜め息をついて、家に入ろうとした。
その時、
「あら心一、アンタ学校に行ったんじゃなかったの?」
「………学校?」
俺には、お袋の言ってる意味がわからなかった。
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