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《……絶対ここは違うな。道を戻ってまた探すか》
そう思った俺は、引き返してババチャリに股がった。
すると、婆ちゃんが話しかけてきた。
「なんじゃ?学校に行かんのかぇ?」
「いやいや、ここはただの廃墟だから。多分旧校舎か何かだよ」
「何を言っておるんじゃ心一。ここがこの村唯一の高校じゃぞ」
婆ちゃんにそう言われて、俺はペダルを漕ぎ出そうとした足を止めた。
「……今何て言った?」
「だから、ここがこの村唯一の高校じゃと言ったんじゃ。何じゃ心一、その年でもう耳が遠くなったのかぇ?フェッフェッフェッ!」
婆ちゃんはそう言って、気持ち悪く笑った。
てかここが俺の通う高校?とても人がいるようには思えねぇ。
だが、ずっとこの村に住んでた婆ちゃんが言うのだから、ここが高校だというのは間違いないだろう。
「何じゃ心一、もしかして入るのが怖いのかぇ?」
「ふっ!ふざけんなババア!大体今目の前に幽霊みたいな存在がいるんだから、今更こんな廃墟みたいな校舎なんざ怖くもなんともねーよ!」
そう言って俺はババチャリから降りて、大股歩きで入口へと向かって行った。
改めて校舎を見上げ、俺は思わず生唾をゴクリと飲み込んだ。
「……よし、入るか」
俺はそう呟いて、腐ってて開けづらい引き戸を無理矢理開いた。
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