18310人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
中はまだ昼間だってのに、まるで夕暮れの時間帯のように暗い。
「本当にここなのかよ?嘘だったら倉庫にチャリ戻すからなクソババア」
俺はそう呟いて、ギシギシ言う廊下を歩き出した。
大体10分くらいさ迷っただろうか。
とりあえず扉を片っ端から開けているのだが、人の気配は全くねぇ。
「……上に上がってみるか」
そう呟いて俺は、今にも崩れ落ちそうな階段を慎重に上った。
2階に着くと、相変わらず人の気配のない不気味な廊下が延々と続いていた。
「……ハァ」
俺は深く溜め息をついて、まるで永遠に続いているような気のする廊下を歩き出した。
その時、
ボコンッ!
「のわぁ!!」
突然歩いていた廊下の真下の床が抜け、俺の足は1階の天井からブラブラと垂れ下がっている形となった。
「何なんだよこのオンボロ校舎は!!くそっ!!」
何とか穴から這い出した俺は、未だにドキドキしている心臓を抑えながらそう悪態をついた。
《やっぱ帰るか。下手したら死ぬし……》
そう思って立ち上がったその時、俺は近くの扉の向こうから声がする事に気がついた。
……人がいんのか?
……それともやっぱ幽霊か?
確率的には幽霊の方が高いだろう。
だが、俺は高校を卒業して東京で働くという希望を見つけたばかりだ。
たとえ幽霊だろうと、俺の希望の邪魔はさせねぇ!
そう決めた俺は、意を決して扉に手を掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!