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ジリリリリリ!!!!
今日も俺はこのうるせぇ目覚ましの音で目覚める。
《7月1日、9時30分か…また遅刻だな。それより今日から7月なんだな。道理で少し寝苦しいと思った》
心の中でそう呟き、俺は目覚ましを床に放り投げてから欠伸をして部屋を出た。
リビングには誰もいない。ラップのかかった朝飯と書き置きがあるだけ。
【今日こそは遅刻しないでね心一。行ってきます】
書き置きにはそう書かれていた。
「わりぃなお袋、今日も遅刻だわ」
俺はそう呟いて書き置きを握り潰し、ゴミ箱に投げ入れた。
俺の両親は半年程前から共働きしている。どうやら親父の会社が最近うまく行ってないかららしい。
正直結構家計がキツイのが現状だ。両親は隠してるみたいだが、俺にはわかる。
両親がそんなに苦労してるのに、俺は言葉使いも悪く、髪も茶髪に染め、毎日のように学校に遅刻して、毎日夜遅くまで悪友と遊んでいる。
いわゆる『反抗期』ってヤツだ。
正直申し訳ないと思っている。
でも、素直になれない。
そんな事を考えているうちに、朝飯を食い終わってしまった。
食器を下げ、制服に着替えた俺は玄関へと向かった。
すると、ふと仏壇にある3年前に死んだ婆ちゃんの遺影が目に止まった。
その瞬間、俺の頭にあの言葉が蘇った。
【ええか心一、どんな物にも神様が宿っとるんじゃ。
あの木にも、あの花にも、あの草にすら宿っとるんじゃ】
《意味わかんねぇよ婆ちゃん。神様なんている訳ねぇじゃん…》
心でそう呟きながら、俺は靴を履いて家を出た。
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