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とは言ったものの、釣れる気配は全くねぇ。
一体何が駄目なんだよ。
「ほら心一、諦めて片付けなさーい」
「うるせぇ!俺は釣れるまで帰んねーぞ!」
俺は釣れたブラックバスを湖に帰している先公に向かって、子供みたいにそう言った。
ガキみたいで情けないが、海野にすら負けたままで帰れるかよ!
そう思って俺は竿を引いた。
すると、
「あれ?何か重いぞ?」
釣竿は魚が食いついた感触はなかったのに、何故か重みがあった。
「ひょっとしたらラッキーで釣れとるかも知れんぞ!引いてみぃ!」
「おっ、おぅ!」
山岡にそう言われて、俺は馴れない手つきでリールを巻いた。
「ぐっ!重てぇ!これは山岡のより大物だぜ!」
「そりゃあ楽しみじゃの!じゃが素人が俺よりデカイのが釣れる訳がないわい」
「へっ!吠え面かくなよ!!おりゃぁぁ!!」
そう叫んで俺は釣竿を思いっきり引いた。
すると、
ベチャン!!
ずぶ濡れの汚いウサギの人形が、俺の顔面に直撃した。
「ハハハ!人形釣るなんて予想外じゃ!!確かに俺の負けじゃの!ハハハ!!」
「プッ!…笑っちゃ…駄目…よ官九郎…ププッ!心一は初めて…プッ!何だから……プッ!アハハハハハハ!!!!」
そう言って山岡と先公は俺を馬鹿にして笑い出した。
自分でも正直かなり恥ずかしい………くそっ!
「ねぇねぇ心ちゃん!」
「何だよ海野?お前も笑いたきゃ笑えよ」
俺はそう言ってそっぽを向いた。
だが、海野から返ってきたのは意外な一言だった。
「このウサギの人形さん、神様が憑いてるよ!」
………えっ?
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